中期経営計画策定にシナリオプランニングを活かすコツ【vol.319】

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 無料セミナー「未来を創る事業企画」では、冒頭でもご紹介したとおり「事業企画」というタイトルをつけているものの、その他の企画や計画の策定にも活かせるお話をしていきます。

 いろいろな企画や計画の策定があると書きましたが、弊社へのお声がけが多いもののひとつが中期経営計画の策定にシナリオプランニングを活かしたいというお話です。

従来型の中期経営計画策定方法の課題

今のように先行きが不透明な中、中期経営計画は功罪両方が指摘されています。中には中期経営計画そのものの存在意義を議論する流れもありますが、今回はその話はまた別の機会として、中期経営計画をつくることは前提にしてみたいと思います。

 中期経営計画を策定するというとき、よく指摘される課題のひとつが「過去から現在までの積み上げで将来の計画を立ている」という点です。

 過去3〜5年の外部環境の状況と、これから3〜5年先の外部環境の状況はだいぶ違ったものになる可能性がある点を考えると、これまでのものの積み上げで考えるのは筋が良いとは言えません。

 そこで「シナリオプランニングを使ったら良いのではないか」という声が出てきます。 しかし、そう考えてプロジェクトチームをつくり、実際に取り組んでみたものの、なかなかうまくいかなかったというお話をよく聞きます。

シナリオプランニング活用中計策定で考えるべき3つのフェーズ 

ではどういう点がうまくいかなかったのかとお話をうかがって分析をしていくと、シナリオプランニングの取り組み自体に課題がある場合も少なくないのですが、実際にはそれ以外の部分が大きく影響をしていることがあります。

 中期経営計画の策定に限らず、何かの企画や計画の策定にシナリオプランニングを活用する場合、そのフェーズは大きく次の3つに分けることができます。

  • 活動前:シナリオプランニングに「正しく」取り組むための準備をする
  • 活動中:シナリオプランニングに「正しく」取り組む
  • 活動後:「正しく」取り組んだシナリオプランニングの結果を組織内で「正しく」広める

 この3つのフェーズで考えた場合、例えば中期経営計画にシナリオプランニングで得た知見を盛り込もうと思うと、ついつい「活動中」のところばかりに目がいってしまいます。

 そのため、十分に「活動前」の準備をしないまま取り組みが始まってしまい、苦労しているということが起きています。さらに、そのように始めた活動は「活動後」でもさまざまな行き詰まりや想定外の出来事に直面する可能性が高くなります。

「正しい」とは何か?

この状況をさらにややこしくしているのが、各フェーズの中で書いている「正しい」という表現です。ここではあえて「正しい」という表現を使っていて、かつカッコ書きで使っているのですが、その理由は、こう書いておきながら、どのような場合にでも当てはまる絶対的な「正しい」基準のようなものがあるわけではないからです。

 もちろん「正しい」ものとそうでないものを分ける指針のようなものはあります。しかし、その指針を踏まえて、具体的な判断基準にまで落とし込むためには、それぞれの組織の状況やプロジェクトの目的を詳しく理解した上で考える必要があります。

フェーズを意識して取り組むことが失敗を回避する 

  たしかに簡単ではないややこしいものではありますが、だからこそ、こういうことに取り組むかどうかが差別化の源泉になるわけです。

 そこまで考えなくても、せっかく時間をかけて進めるシナリオプランニングの取り組みを無駄にしたくはないと誰もが思うはずです。そのためには、先ほど紹介した3つのフェーズ、特に最初の「活動前」のフェーズに注意を払い、必要な取り組みを進めることが、良い活動につながる可能性高めることにつながるのです。

コラムで取り上げているその他の話題

1-シナリオテーマ設定 3-重要な環境要因の抽出 4-ベースシナリオ作成 5-複数シナリオ作成 5フォース 6-シナリオ詳細分析 7-戦略オプション検討 DX 『実践 シナリオ・プランニング』 『進化思考』 アイデアソン イノベーション オンラインワークショップ コンティンジェンシープラン シナリオプロジェクトマネジメントモデル ジョブ理論 チームビルディング デザイン思考 ネガティブ・ケイパビリティ パターン・ランゲージ パーパス ビジネスモデル ビジョン メンタルモデル リーダーシップ リーンキャンバス レジリエンス ロジックモデル 不確実性 事業開発 仮説検証 対話 悪魔の代弁者 成果 成果物 戦略 戦略的対話 文化開発 未来創造ダイアローグ 焦点錯覚 現状分析 社会構成主義 組織学習 組織資源 組織開発

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単に複数シナリオをつくって終わりにしないためにも、プロジェクト等の設計時点からご相談いただくことをお薦めしています。