シナリオプランニングの報告会はどのように設計すれば良いか?【Stylish Ideaメールマガジン vol.313】
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3月を年度末とする日本企業が多いため、この時期は、さまざまなプロジェクトなどの取り組みの「最終報告会」が増えています。
私自身も、今月はすでに3回の最終報告会に参加しました。
どちらも数ヶ月かけてシナリオプランニングとそれを元にしたアウトプットの検討に取り組んできたもので、参加者の上長にあたる幹部や経営陣に出席していただき、報告会を開催しました。
一般的な報告会の形式
組織にお勤めの方は、シナリオプランニングではないにせよ、なんらかのテーマや手法の研修やワークショップを行い、最後にこのような報告会の類に参加された経験があるのではないでしょうか。
そのような報告会では、研修やワークショップの受講者の方がプレゼン資料を用意し、それを幹部や経営陣の前で発表し、その後、質疑応答。そして、幹部の方などからの講評があって終わり。場合によっては、その後の懇親会もセットになっていることもあるでしょう。
シナリオプランニングも同じ形式で良いのか?
このような会は多くの人にとってなじみがあるため、シナリオプランニングの場合でも、このような形式で会が企画されることがあります。
しかし、特にシナリオプランニングの場合は、上で書いたような一般的な形式の報告会をやると、大抵うまくいきません。聞き手である幹部などからあまり良い反応が得られなかったり、場合によっては、ネガティブなフィードバックがあって、せっかくいろいろと検討してきた参加者のテンションを下げてしまうことも。
なぜ「大抵うまくいきません」と言い切れるのかというと、10年以上前、弊社でシナリオプランニングを扱い始めた頃、一度だけこのような形式で報告会を実施し、良い結果を得られなかったという経験をしているからです。
その時の参加者の皆さまには本当に申し訳ないことをしたと思っていますが、そのおかげで、考えを改めることができました。
「未来創造OS」を念頭に置いた報告会の設計
では、どのような形式にすれば良いのでしょうか。
それを考えるためには、シナリオプランニングを実践する際に意識しなければいけない「未来創造OS」を思い出してください。
「未来創造OSって何?」という方は、こちらのコラムをご覧いただいてから続きをお読みください。
・なぜ、シナリオプランニングを継続することが必要なのか?【Stylish Ideaメールマガジン vol.310】
シナリオプランニングに取り組みは、単にシナリオというアウトプットをつくるだけではなく、その取り組みをとおして「未来創造OS」の中にある最初の2つのR、つまり reframing(物事を見たり考えたりする際の枠組みの見直し)と reperception(自分が持っている認識の見直し)を経験できるように進める必要があります。
これは報告会でも同じです。つまり、シナリオプランニングの報告会は、参加者の人にとって、この2つのRが起こるような場として設計しなければいけないのです。
対話を中心とし、効果を組織全体に波及させる
そのためには、発表者から参加者への一方的な発表と質疑応答という形式ではなく、対話型の形式にしなければいけません。発表の数や参加者などを踏まえて、発表と対話の時間のバランスや対話自体をどのような形式でやるのかを考える必要もあるでしょう。
その場をより良いものにするためには、さまざまな事前の準備も必要になってきます。
考えなければいけないことはいろいろありますが、どの点を考えるにしても、前提として「未来創造OS」の2つのRを念頭に置き、それらを経験し、促進するような仕組みになっているかを常に考えながら設計していくと、軸がぶれず、従来の設計よりも確実に良い報告会になるはずです。
そして、そのような報告会は、単なる情報のやり取りで終わることなく、戦略的対話を組織に根づかせるための第一歩となるでしょう。
コラムで取り上げているその他の話題
2-外部環境要因リサーチ 3-重要な環境要因の抽出 4-ベースシナリオ作成 5-複数シナリオ作成 5フォース 6-シナリオ詳細分析 7-戦略オプション検討 DX SDGs 『実践 シナリオ・プランニング』 『進化思考』 アイデアソン イノベーション オンラインワークショップ コンティンジェンシープラン シナリオ作成プロセス ジョブ理論 チームビルディング デザイン思考 ネガティブ・ケイパビリティ パターン・ランゲージ パーパス ビジネスモデル ビジョン メンタルモデル リーダーシップ リーンキャンバス レジリエンス ロジックモデル 不確実性 事業開発 仮説検証 対話 悪魔の代弁者 成果 成果物 戦略 戦略的対話 文化開発 未来創造ダイアローグ 焦点錯覚 現状分析 社会構成主義 組織学習 組織資源