事業に直結するシナリオをつくるための3つの"視"【Stylish Ideaメールマガジン vol.282】

シナリオプランニングは、通常7つのステップで取り組みますが、やはり一番の難所は5つめのステップの「複数シナリオ作成」の部分。
 
ここで言う「複数シナリオ」とは、2軸を使って4つの世界を表現するもののことです。
 
例えば『実践 シナリオ・プランニング』の第3章でも紹介している世界経済フォーラムによる「2030年の世界における食糧システム」シナリオも、次のように2軸を使って4つの世界を表しています。
 
 
この「複数シナリオ」を考えるためには、軸を作成し、それらを組み合わせ、まずは4つの世界をなんとなくでも良いのでイメージすることから取りかかります。
 
そこまではなんとなくたどり着けたとしても、難しいのはここから。

幅広いシナリオから事業検討へのつなげ方

シナリオプランニングでは、普段は想定していないようなことを積極的に考えるために、自社の事業のことなどを考える場合でも、なるべく幅広いシナリオテーマを設定します。そのため、複数シナリオで描かれる4つの世界も幅広いものになります。
 
そうなると、どうしても自社の事業とは遠く離れたものしか出てこないので、ついつい「このままつくり続けても意味がないんじゃないか…」と不安になり、結局、普段から考えているような世界が含まれている範囲の狭い複数シナリオをつくりたくなってしまいます。
 
しかし、そういう誘惑にめげず、幅広いシナリオテーマからつくられた複数シナリオを元に自社の事業などのことを考えていくことが重要です。
 
そうは言っても、
 
幅広い世界を見ているだけじゃ、自社の事業のことを考えたとしても、ボンヤリとした、具体性のないものになってしまう
 
という声もあるでしょう。
 
このような場合、つまり「シナリオでは視野を狭めず、幅広い世界を考える」ことと「自社の事業に直結するようなことを具体的に考える」を両立させるために取り組むのが、シナリオプランニングに取り組む7つのステップの6番目にある「シナリオ詳細分析」です。
 
このステップでは、自社の事業に直結するような観点を盛り込むために、共通の切り口を設定して、複数シナリオの各シナリオを詳細化します。

共通の切り口を設定するための3つの視点

では、ここで言う「共通の切り口」とは、どうやって設定すれば良いのでしょうか?
 
そこで参考にしたいのが、"視"という漢字から始まる次の3つの観点です。
  • 視点:どんな観点を見ているのか?
  • 視野:どんな範囲で見ているのか?
  • 視座:どんな立場で見ているのか?
というような感じです。
 
例えば、シナリオで描かれた4つの世界の中身における「消費者」の様子を考え、自社の事業につなげるヒントを得たいと思っていたとします。
 
そういう時は、漠然と「消費者の様子」と考えるのではなく、視点を具体化して、消費者の生活におけるさまざまな場面を考えてみると良いでしょう。あるシナリオで消費者の「病気の治療のための行動」の場面を考えるというように、具体的な視点にすると、見え方は変わってくるでしょう。
 
あるいは知らず知らずのうちに「本社のある東京周辺に住む消費者の様子」という視野で考えてしまっているかもしれません。そういう時は、別の地域に住む人のことを考えるべく、視野を変えてみることも有用です。
 
またシナリオで描かれた世界の状況を解釈する際、ついつい現場経験が長かった自分の視座でしか考えられていなかったということも良くあります。そういう時は、管理者としての視座、経営者としての視座も取り込んでみると、とらえ方が変わってくるはずです。
 
このように視点・視野・視座を動かしながら作成した複数シナリオの中身を考えることは、シナリオプランニングの取り組みを元にして新規事業案を検討したり、既存事業の見直しに取り組む際に、特に役に立ちます。
 
過去にシナリオプランニングに取り組んだことがあるという方にお話をうかがうと、「やってはみたものの、あまり役に立つとは思えなかった」という感想をお持ちの方が少なくありません。
 
そういう方に詳しく状況をうかがうと、漠然とした世界観の理解のままで自社のことを考えてしまっている場合が少なくありません。
 
シナリオプランニングでは幅広い世界を考えろと言われたから考えたもののスッキリしない」という感想をお持ちの方は、視点・視野・視座に目を向けて、作成した複数シナリオの詳細化を試してみてください。

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株式会社スタイリッシュ・アイデアでは、シナリオプランニングや未来創造ダイアローグを活用し、以下のようなサービスをご提供しています。

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単に複数シナリオをつくって終わりにしないためにも、プロジェクト等の設計時点からご相談いただくことをお薦めしています。