手段としてのシナリオプランニングで変わる組織【Stylish Ideaメールマガジン vol.281】
2021年を振り返ると、いろいろなことがありましたが、先ほども書いたとおり、新刊『実践 シナリオ・プランニング』の出版は大きな変化につながりました。
ありがたかったのは、本を出したことで、弊社がシナリオプランニングをどのように位置づけているのかを知っていただくことができたことです。
「シナリオプランニングの位置づけ」と言っても、シナリオプランニングはシナリオプランニングだろうと思われた方もいらっしゃるかもしれません。
たしかにシナリオプランニングという手法自体は、弊社でご紹介しているものも、他の方が紹介されているものも、基本的には同じものです。
しかし、シナリオプランニングを手法としてとらえるだけではなく、手段としてとらえ、それをどのように活用するのかまでを見据えてプロジェクトやワークショップを設計することが大切だ、というのが「弊社の位置づけ」です。
2022年は、この「手段としてのシナリオプランニング活用」に、これまで以上に力を入れて取り組んでいきます。
なぜ手法としてとらえるだけでは良くないのか?
新型コロナウイルス感染症も未だ落ち着かず、ますます先が読めない状況になっています。
このような状況になると、シナリオプランニング含めて、これまで注目されていなかったようなさまざまな新しい手法やテーマが登場し、「これからは○○だ!」という形でさかんに喧伝されるようになります。
例えば、
- これからはシナリオプランニングで未来を考えろ!
- これからはパーパス経営だ!
- これからは ○○思考を使うことが新規事業を考える鍵だ!
というような感じです。
シナリオプランニングも含めて、新しい手法やテーマを試してみると、短期的には何かが変わったように思えるかもしれません。
しかし、そのような変化は一過性のものに過ぎません。
単に新しい手法やテーマに飛びつくのではなく、戦略や事業、あるいはパーパスなどを考える前提、そしてそれらを考える組織や人のものの見方が変えるための取り組みをしなければ、本質的な変化・変革にはつながりません。
シナリオプランニングを手段として活用した場合
では「シナリオプランニングを手段として活用」した場合、上に書いたことと何が違うのでしょうか?
シナリオプランニングでは、将来における不確実な可能性を検討します。
例えば、2030年、あるいは2040年の日本の社会はどのようになり得るのかを、複数のシナリオとして検討します。
そうして完成した未来のシナリオをインプットとして、自分たちが戦略や事業を考えていた前提を見直したり、ものの見方をアップデートすることが欠かせません。
その上で、例えば「検討した複数のシナリオにおける自分たちの役割は何だろうか?」と問うことで自社のパーパスを検討したり、「検討した複数のシナリオでは、社会や顧客にどんなニーズがあるだろうか?」と問うことで新規事業を検討します。
このように考えていくことは、突き詰めて言えば「未来における不確実な可能性の中で、自分たちが果たすべき役割は何なのか?」を考えていくことです。
このように考えたとしても、出てきたものはフレームワークに穴埋めをして考えたことと大差ないものになるかもしれません。
戦略や計画、事業案などの成果物は一見同じように見えるかもしれませんが、それらを考えた組織や人はまったくの別ものです。フレームワークの穴埋めをしただけの場合は、これまでの延長でしかものを見ることができていませんが、シナリオプランニングを手段として使った場合、その人たちはこれまでにはないものの見方を手に入れています。
その差は戦略や計画、事業案を実行する際に如実に現れます。
シナリオをとおして得た変化の可能性を念頭に置きながら、検討したパーパスを「北極星」のように見据えながら、戦略や計画、事業案を柔軟に実行していくことができるのです。
世に新しく出てくる手法やテーマに目を向けることは大切です。
しかし、それらに振り回されてしまってはいけません。それに取り組みさえすれば、すべてが解消するような魔法の杖はないのです。
変化のための「杖」を自分たちの外に求めるのではなく、自分たちの内にある前提やものの見方をアップデートし、使命感を問い直し、それを元に取り組みを進める。
そんな組織やチームをつくるために、2022年もシナリオプランニングを活用したご支援を続けていきます。
お問い合わせください
・中期経営計画や戦略立案のご支援(シナリオ作成から最終アウトプットの作成まで)
・ビジョン・パーパス策定のご支援
・事業や研究開発の企画検討のご支援
・未来を担う人材育成プログラムのご提供
・シナリオプランニングなどを活用した個別コンサルティング
単に複数シナリオをつくって終わりにしないためにも、プロジェクト等の設計時点からご相談いただくことをお薦めしています。