"2021年予測"のシナリオプランニング的活用法【Stylish Ideaメールマガジン vol.251】
この時期になると2021年がどうなるかについてまとめた書籍や雑誌などがたくさん出てきます。
いま、自分の机の周りにあるものだけでも、書籍では『2021年 日本はこうなる』や『これからの日本の論点2021 日経大予測』があり、雑誌では週刊エコノミストの特集が「日本経済総予測2021」となっています。
年末年始の時間が取れるときを使って、この類の書籍や雑誌に一気に目をとおすという人も結構いらっしゃるのではないでしょうか。
この手の書籍や雑誌になんとなく目をとおすのも良いのですが、シナリオプランニング、あるいは戦略や中計の立案の際の外部環境分析に活かすために読んでいるという人もいるでしょう。
そういう方は、ぜひ次の2点を意識しながら、複数の書籍・雑誌をザッと読み比べてください。
- よく出てくるテーマは何か?
- 各書籍・雑誌での論調の違いは何か?
手元にある『2021年 日本はこうなる』と『これからの日本の論点2021 日経大予測』をザッと見てみると、例えば、どちらの本にも「ジョブ型」についての話が出てきます。
これは上であげた1点目の観点につながります。他の書籍や雑誌も手に取ってみて、この話題が出てくるかどうかを確認し、重要度を見極めます。
次に2点目の論調の違いに移ります。
先ほどの「ジョブ型」について目をとおしてみると、『2021年 日本はこうなる』では、厚生労働省の職業情報提供サイト(日本版O-NET)なども紹介しながら、人材の市場価値の定義の仕方や報酬への反映の仕方について紹介しています。
一方、『日経大予測』の方では、日立などの事例も紹介しながら、経団連が出した資料も元にメンバーシップ型との比較や、日本での展開の可能性について紹介しています。
今回例として挙げた「ジョブ型」については、とらえる範囲が2冊で違うことがわかりました。
別のテーマで見てみると、範囲は同じではあるものの、賛成・反対といったように立場が違うものなども出てくるでしょう。
複数の書籍や雑誌をこのような読み方をすることでひとつの物事に対して、さまざまな観点を持つことができるようになります。
こうして得た観点を使い、シナリオの軸のように、
- もし、Aという本の観点が実現するとどうなるか?
- そうではなくBという本の観点が実現すると?
というように、それぞれの観点の違いから引き起こされる結果の違い、そしてその違いから受ける自社への影響までを考えてみると良いでしょう。
ここまでやると、2軸でつくった複数シナリオというアウトプットをつくらないまでも、実際にはシナリオプランニングを実践しているのと大きな違いはありません。
年末年始にまでシナリオプランニングをやろうとは思わないという人も、もし、この手の情報をインプットするのであれば、ぜひ「シナリオプランニング的」な読み方をしてみてはいかがでしょうか。
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単に複数シナリオをつくって終わりにしないためにも、プロジェクト等の設計時点からご相談いただくことをお薦めしています。