一歩先の組織能力を考えるためのシナリオプランニング【Stylish Ideaメールマガジン vol.211】
連休中、Evernoteの整理をしていたら、2016/10/16日経新聞朝刊に載っていた「半歩遅れの読書術」の切り抜きを見つけました。
その時の執筆者は哲学者 國分功一郎氏。
記事の中でドイツ語学者関口存男氏が書いた文が引用されていました。
世間が面白くないときは勉強に限る。
失業の救済はどうするか知らないが個人の救済は勉強だ。
関口存男氏がこれを書いたのはいつだろう?と思って調べていくと、昭和6年に出版された『獨逸語大講座』だということがわかりました。
(参考:[書評]関口・新ドイツ語の基礎(関口存男・関口一郎): 極東ブログ )
昭和6年というと1931年。今から88年前のこと。
この年には柳条湖事件が起き、それが満州事変につながっていくという時代。
そんな時代の空気を読み取って、関口存男氏は「世間が面白くない」と書いたのでしょうか。
ただ、そんなことを知らされず、最近言われていることだと言われたとすると、違和感なく読めてしまうような内容です。
そして、これは今の個人に当てはまると同時に、今の組織にも当てはまるものでしょう。
つまり、世の中が不安定な今の時代に、組織を救済するものは「勉強」だと言えます。
もちろん、組織の「勉強」は個人の勉強と同じではありません。
組織にとっての「勉強」とは、組織能力、特に人材育成や組織としての能力の蓄積に取り組んでいくことです。
組織能力を蓄積していくことが組織にとっての救済だとして、では、どういうものを蓄積していけば良いのか。
それを考えるために、いろいろなところで開催されているようなセミナーに行き、流行りのテーマを押さえておくのも一案でしょう。
ただ、そういうセミナーで取り上げられているということは、他の企業も取り組もうとしている、あるいは既に取り組んでいるところが多いという状況であるはずです。
そして、それが今後もずっと続くテーマだとは限りません。
そこで、シナリオプランニングに取り組む際に、「どのような組織能力を蓄積するのか?」という問いもあわせて考えていくのが良いでしょう。
シナリオプランニングで描いた複数の世界のどれになったとしても対応できるような人材を獲得し、育て、自社のノウハウを蓄積する。
このように、シナリオプランニングは、組織の外のことだけではなく、組織の中のことも考えるきっかけになるのです。
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単に複数シナリオをつくって終わりにしないためにも、プロジェクト等の設計時点からご相談いただくことをお薦めしています。