中期経営計画/長期経営計画の意義とシナリオプランニング
スタイリッシュ・アイデアの新井です。
12月が決算月の弊社は、7月から下半期に入っています。その下半期も間もなく1カ月が過ぎようとしています。
年度の半年が過ぎたことで、7月は年初に策定した戦略と経営計画の進捗の確認などの振り返りと、下半期以降に向けた見直しをしました。
計画や戦略は実行を通じて見直すもの
私がよく紹介している『戦略と実行』の51ページには次のような説明があります。
「実行」は「戦略の後工程」ではありません。実行は、戦略の仮説を展開すると同時に、また戦略立案段階で明確にできなかったこと、予想できなかったこと、あるいは間違っていたことをその実際の行動の中で知り、フィードバックを通じて「戦略を練り上げる」プロセスでもあるのです。大げさに言えば「仏に魂を入れる」プロセスです。
これはとても大切な指摘です。
何より私自身、自分の会社の12期目の経営に入り、このことを強く実感しています。
毎年、年末にはその年の実行結果を振り返り、年始からは新しい年の戦略・経営計画の立案を行います。しかし、いざ実行してみると、思ったとおりにいかないこともあれば、実行をしてみることで「思っていたのと違った」ことがわかることがあります。
どうも我々の中に「思っていたのと違ったからといって、一度決めたものを変えてはならん」という思い込みが強く根づいているようなところがある気がします。
しかし、そんなこだわりなんかは、なくても良い、むしろ、実行するからこそわかってくるのがあるのだ、というのが引用した部分からの学びであり、実行したことで感じた実感です。
では、どうやって見直せば良いのか?
そうなると、一度決めた戦略や計画を見直そうとなるわけですが、それがまた難しいわけです。
上で書いたものと正反対のことを言うようですが、「思っていたのと違ったから変えよう」とすぐに変えることが常に良いわけではありません。
「今の時点では」思っていたのと違うかもしれませんが、「時間をかければ」思っていたとおりになる、というのも中にはあるからです。
では、実際の見直しの場面で、そういう似て非なるものをどう峻別していくのかというと、そのひとつの基準となるのが、中期経営計画、あるいは長期経営計画と呼ばれるものです。
そのような計画には中長期で何を目指すのかが示されています。
そして、そのような中長期の計画と単年度の戦略・計画がきちんとリンクしていれば、単年度の戦略・計画の中に、中長期で成果をあげるための取り組みが含まれているはずです。
そういう取り組みは、元々、単年度で成果を出すというよりは、複数年かけて成果を出すものなので、「思っていたのと違う」からといって、半年やそこらで安易に見限るものではないかもしれません。
もちろん、「安易に見限るものではない」=「何も考えずに続ければ良い」というわけでもありません。むしろ、しっかりと見直しをする必要があるでしょう。
中期経営計画・長期経営計画が大切な理由
いずれにしても、中長期の計画がなく、短い期間だけですべての取り組みの良し悪しを判断してしまっていると、どうしても目の前の成果が出やすいものばかりに組織資源をつぎ込んでしまいます。
そういう短期的な取り組みの必要性にも意義を認めながらも、いわゆる「重要だけど、緊急ではない」をやる意義を同時に認識し、それらを両立するためには、短期的な基準だけでは十分ではないのです。
しかし、今の世の中、中長期の変化の可能性をひとつに見極めることは難しい。
だからこそ、シナリオプランニングを元にして中長期の戦略や経営計画を立てることで、目の前のことだけに陥らず、変化の可能性に対応できる、でも今すぐには成果が出ないものにも、きちんと意義を見出して、取り組むことができるのだと感じています。
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