未来検討手法を「学習エンジン」とする(2025年のご挨拶)
本年もどうぞよろしくお願いします。
2024年もプロジェクトやワークショップという形式で、多くの企業の皆さまとご一緒させていただきました。また公開セミナーでも、たくさんの方と一緒に未来について考える機会をいただきました。ありがとうございました。
シナリオプランニングや未来創造ダイアローグという未来を考える手法を軸にコンサルティングを提供する弊社ですが、昨年は未来を考えることを入口として、中期経営計画や研究開発といった成果物をつくることを短期的なゴールとしつつも、それをとおして長期視点で組織変革やリーダー育成にまで取り組む機会が増えてきました。
10年後の「答え合わせ」からわかること
2013年に創業した弊社は、今年で12期目に入ります。創業した頃に「10年後の未来」として描いていたものを、通り過ぎてしまう時期となりました。そうなると、考えていた未来のことの「答え合わせ」ができるようになります。
「答え合わせ」をしてみて気づくことはたくさんありますが、そのひとつに、いくら膨大なリサーチをして、緻密にシナリオをつくっても、それでも想定できないことは起こり得るというのがあります。
そして、そのような出来事が起きたときこそ、シナリオプランニングを活用できている企業とそうではない企業に大きな違いがあることがわかりました。
それは、自分たちが想定していなかったことが起きたとき、その機会を「学習の機会」としてとらえるかどうかの違いです。
想定外の出来事を「学習の機会」につなげる
シナリオプランニングをやっていると、想定していないようなことが起きたとき、単なる想定外の出来事ではなく、それが「自分たちが見落としていた要因」なのか「過去にはなかった新たな要因」なのかを区別して考えることができます。
前者であれば自分たちの物の見方、頭の使い方をアップデートするきっかけになるでしょう。後者であれば新たに注視すべき要因として取り込み、想定していた今後の影響をアップデートする必要があります。
新型コロナウイルス感染症による影響が出始めたときを思い返すとよくわかりますが、何か想定していない出来事が起きると、その時は大騒ぎするものの、小康状態になれば、「異常な状態が終わり」「元に戻った」ととらえて流してしまい、せっかくの「学習の機会」をみすみす逃してしまう組織や個人も少なくありません。
そのような機会を逃してしまうだけであればまだ良いのですが、それがかえって成功体験となり、それが生存バイアスに陥ってしまうきっかけにさえなってしまうこともあります。
未来に強い組織に変わるための取り組み
ここでご紹介した以外の「答え合わせ」の結果から言える重要な点は、シナリオプランニングをつかって組織として「未来を正しく予測する」ことが大切なのではありません。
そうではなく、想定外だったことを想定内にとらえ直す学習を絶えず続ける組織に変え、人材を育て、今後も続く不確実な世界に対応し続け、社会や顧客に価値を届け続けていけるようにすることが大切なのです。
そこで活用するシナリオプランニングや未来創造ダイアローグは、単なる未来を考える手法ではなく、組織や人材が進化し続ける「学習エンジン」なのです。この「学習エンジン」によって支えられた変化に強い組織文化と組織能力を育んでいくことが、このような手法を活用する真の目的です。
2025年、弊社としては、多くの組織が、この「学習エンジン」を据え付け、使い続けていただくための取り組みを全力で進めていきます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
お問い合わせください
・中期経営計画や戦略立案のご支援(シナリオ作成から最終アウトプットの作成まで)
・ビジョン・パーパス策定のご支援
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・未来を担う人材育成プログラムのご提供
・シナリオプランニングなどを活用した個別コンサルティング
単に複数シナリオをつくって終わりにしないためにも、プロジェクト等の設計時点からご相談いただくことをお薦めしています。