ChatGPTという「新入社員」とのシナリオプランニング【Stylish Ideaメールマガジン vol.307】
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先日開催した未来ラボではChatGPTを活用したシナリオプランニング講座の第二弾として、複数シナリオをどこまでつくれるのかをご紹介しました。
「どこまでつくれるのか」という問いに対する直接的な答えは、「シナリオプランニングの実践方法を十分に身につけている人が使う限り、ChatGPTはかなり役立つツールになり得る」になります。
未来ラボの中でもお伝えしましたが、今の時点でのChatGPTをはじめとするAIは「先生」ではなく「驚くほどいろんなことを知っている新入社員」というイメージです。
ここで言う「先生」とは、
- 相応の「知識」を持っていて
- その「知識の使い方」も熟知していて
- 使う際の「判断基準」も把握している
人です。
そのため、曖昧なまま「2030年の日本の未来はどうなりますか?」と聞いても、「判断基準」を使って何のために聞いているのかを判断し、それに沿った「知識」と「知識の使い方」を駆使して、期待するアウトプットを出してくれます。
(もちろん、こう書いたプロセスを進めるためには、冒頭の質問のあと、何度もやり取りが必要になるでしょうし、相応の時間もかかりますが、あえて単純化して書いています)
一方、ChatGPTは「驚くほどいろんなことを知っている新入社員」と書いたとおり、上で書いた3つの要素のうち「知識」は十分に持っているものの、そもそも、その知識をどのように使えば良いかわかっていません。
そこで、その「新入社員」の「指導役」に相当する私たち人間が、プロンプトという形式でシナリオプランニングの考え方に沿った「知識の使い方」を明確に指示しなければいけません。
指示をすると、それを元に愚直に考えを返してくれますが「新入社員」のメタファーのとおり、必ずしも最適な案を出してくるとは限りませんし、場合によっては誤解に基づく案もあるかもしれません。
そこで、「指導役」である私たち人間が、シナリオプランニングに取り組む目的などを踏まえた「判断基準」を使って、それら玉石混交の案から複数シナリオを構成する案を選び出す必要があります。
ChatGPTが後押しするメンタルモデルのリフレーミング
先ほど「シナリオプランニングの実践方法を十分に身につけている人が使う限り、ChatGPTはかなり役立つツールになり得る」と書いたとおり、シナリオプランニングの知識や実践経験はもちろん、シナリオをつくる目的などの理解があればこそ、この優秀な「新入社員(=AI)」が実力を発揮してくれるわけです。
つまり、ChatGPTなどのAIは(今の時点では)シナリオ作成チームを代替するものではなく、あくまでもチームの一員としてアイデア出しを手伝ってもらうような位置づけと考えるのが良さそうです。
そのような位置づけを正確に理解して使いさえすれば、この「新入社員」は、私たちと同じメンタルモデルに染まっているわけではないですし、「こんなことを言ったらマズいかな…」と考えたりすることもないので、未来創造OSで言うところの「reframing(枠組みを広げる)」に大いに貢献してくれる「一員」となります。
このような位置づけで使った場合のChatGPTなどのAIの威力は本当に驚くべきものだと感じます。
この威力を存分に活用するためには、私たちは人間が、シナリオプランニングの実践方法だけではなく、その活用の目的をしっかりと理解し、優れた「指導役」となることがますます大事になってきていると感じています。
ただし、AIなどの技術がどのように変化したとしても、それ自体にこだわりすぎず(もちろん、こだわってはだめだというわけではありませんが)、本来の目的に引きつけながら活用するという姿勢を忘れないようにしたいところです。
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単に複数シナリオをつくって終わりにしないためにも、プロジェクト等の設計時点からご相談いただくことをお薦めしています。