シナリオプランニングを活用した戦略的対話がもたらすもの【Stylish Ideaメールマガジン vol.302】
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前回のセミナー案内のメールマガジンでもご案内したとおり、株式会社スタイリッシュ・アイデアはこの4月で10周年を迎えることができ、11年目に入りました。
この10年間を振り返ると、業界・業種を問わず、規模もプライベートレッスンから100名を超える大規模な機会まで、シナリオプランニングをとおして考えたいテーマも多種多様という形で、とにかくさまざまなシナリオプランニング実践の機会をいただきました。
それらの経験をとおして改めて思うのは、シナリオプランニングの取り組みを「シナリオをつくる」ところで終わらせないことの重要性です。
世の中で紹介されている一般的なシナリオプランニングの紹介のされ方を見ると、この重要性に気づかずにシナリオプランニングの取り組みを進めてしまったという場合も少なくないでしょう。
その証拠に「シナリオプランニングに取り組んだものの、その結果を組織内で活かし切れていないと感じる」というお問い合わせをこの10年の間にいただいたことは、一度や二度ではありません。
そういった経験から、最近ではシナリオを作成するところにとどまらず、社内メンバー向けのファシリテーショントレーニングをとおして、社内でのシナリオプランニング浸透に取り組むことまでをスコープに含めたプロジェクトも増えてきました。
●なぜ「シナリオをつくる」で終わりにしてはいけないのか
「シナリオプランニングの取り組みを、シナリオをつくるところで終わりにしてはいけない」と言われると、内容がそれなりに的を射ていそうなことに聞こえるだけに、真っ向から否定されることはありません。
しかし、そもそも、なぜ、シナリオをつくるところで終わらせないこと、もう少し踏み込んで言うと「つくったシナリオを社内で活用していくための道筋をつくり、少しずつでも良いので実践していくこと」が重要なのでしょうか。
それは、なぜシナリオプランニングに取り組むのかという理由と密接に関係しています。 シナリオプランニングでは未来のことを扱うので、ついつい「未来のこと」を考える手法と考えてしまいますが、正確に言えばシナリオプランニングとは「不確実なこと」を考える手法です。
では、なぜ、このような「不確実なこと」を考える手法が必要になってきたのかというと、組織を取り巻く環境が不確実になってきた、言い換えれば、先を読むことが難しくなってきたからではないでしょうか。
先を読むことができるのであれば、そういうことが得意な人を集めた部署やチームなどをつくって、その人たちが先を読み、それを元に戦略や計画をつくり、つくったものを各部署に割り当てるというようなトップダウンの仕組みで十分です。
●不確実な時代に対応できる組織の仕組み
しかし、不確実な世の中になってくると、戦略や計画の策定を担当する部署の人たちだけでは、自社に直接的、あるいは間接的に影響が及ぶ出来事や出来事の予兆をとらえることが難しくなってきます。
日本全国、あるいは全世界に散らばる現場だからこそ見えている出来事や予兆があるかもしれません。
特定の技術の開発に従事している人だからこそ見えている可能性があるかもしれません。
その分野にほとんど馴染みのない経験の少ない社員だからこそ気づく違いがあるかもしれません。
しかし、仮にそういう人たちが気づいていても、その気づいたことを社内で広く共有するような仕組みがなければ、何かが起きてから判明する後知恵で終わってしまいかねません。
あるいは、共有する仕組みがあったとしても、すでに自社にとってインパクトが大きい影響が出てしまっている段階では、共有されたとしても「時すでに遅し」かもしれませんし、そういう状況での共有を躊躇して、そもそも共有されないかもしれません。
●「戦略的対話」が組織にもたらすもの
こういうことを防ぐために、シナリオプランニングを社内で浸透させ、将来の不確実な可能性についての対話、これを「戦略的対話」と呼んでいますが、それが組織内で当たり前のように行われることが必要なのです。 シナリオプランニングを使った戦略的対話が行われるようになることで、
- 社内のいろいろな立場の人が自社の戦略や計画、あるいはその実行について主体的にかかわれるような仕組みをつくることができる
- 将来において自社に影響を及ぼす可能性がある出来事や予兆について対話をすることで、それらの可能性に備えることができる
というメリットが生まれます。
これを理解していただくためには、シナリオの「作り方」を理解していただくことも大切ですが、その前にシナリオの「使い方」を理解してもらうことも大切。
そう考えて、皆さんのシナリオプランニングの入口としてご用意した「シナリオプランニング活用講座 入門編」では、未来創造ダイアローグ実践Ⓡをとおしてシナリオプランニングの「使い方」を体験していただき、それを踏まえた質問などを受け付ける内容にしています。
シナリオプランニングに初めて触れる方はもちろん、「シナリオプランニングはなんとなく知っている。あの2軸で未来をつくるのだよね?」という経験者の方にもお薦めしたいセミナーです。
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・中期経営計画や戦略立案のご支援(シナリオ作成から最終アウトプットの作成まで)
・ビジョン・パーパス策定のご支援
・事業や研究開発の企画検討のご支援
・未来を担う人材育成プログラムのご提供
・シナリオプランニングなどを活用した個別コンサルティング
単に複数シナリオをつくって終わりにしないためにも、プロジェクト等の設計時点からご相談いただくことをお薦めしています。